まだ夜の明けないうちにスタート地点に立つ。かがり火がたかれているので暖をとる。やがてスタート時間となるが、タイムを気にしていない今回は後ろの方からゆっくりスタートする。もうウルトラなど走れないと思っていたのに、またこの舞台に立てる喜びがじわじわとわいてきた。やがて夜が明けてくると、少しづつ登りになってくる。最初はまだ余力があったので、次々と前のランナーを抜けていけたが15キロくらいから、ガクっとペースが落ち、逆にドンドン抜かれていく。今回はタイムも順位も気にしていないので抜かれても平気である。
やがて杓子峠のエイドに着き、ここから四万十川めざしての下降が始まる。最初はかなり急な下りであったので、足への負担を和らげるため、意識的にセーブし、そのためにどんどん抜かれていく。傾斜が緩くなるにつれて自分のペースも上がってきたので、さほど抜かれなくなり、集団の流れに沿って走っていけるようになる。
32キロ付近でようやく待望の四万十川に合流する。ここまでが第一目標であったので、無事到達したことに一安心する。次はフルのゴール地点である。予定時間の5時間を10分超過したが、この程度の遅れは誤差の範囲内か
62キロのレストステーションには予定時刻よりも20分遅れ、キロ8分で行けば間に合うのであるが、どうであろうか。着替え等は最小限に留め、なるべく休まないようにして先を急ぐ。
次のポイントの65キロ地点で、制限時間の表示に初めて目が行く。まだ20分くらいはあったので、それほどあせりはなかったが、ペースがキロ9分にまで落ちてきたので、これではゴールは難しいかなと思い始めた。そこでもう一度キロのラップを取り始めたので、途中の沈下橋通過の絶好の撮影ポイントも写真を撮らずに通り過ぎる。そして71.5キロのポイント付近までくるとなにやらまわりの空気がおかしい。ここでハタと関門にひっかかったことに気づく。落胆と安堵の入り交じった複雑な気分であった。生まれて初めて収容車に乗せられてゴールに向かう。ゴールでは完走メダルを手にしている人を見て、悔しさがこみ上げてくる。
以前ならば、絶対にリベンジを誓ったであろうが、今は別にそういう気にもならならない。時間がたつに連れて悔しさは薄れ、満足感の方が増してくるのは妙なものである。今後、再びウルトラに出場するかどうかはわからないが、たとえ出場するとしても、それは挑戦ではなく、参加することに意義有り程度のものでしかないと思う。それはそれでやむをえないことなのだろう。
小歩危
大歩危
大歩危と鉄橋
足摺岬と灯台
大堂海岸
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