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2010年12月19日 (日)

秩父困民党の足跡を辿る

秩父事件に関心を持つようになったのは学生時代である。丁度、山登りを始めた頃であるが、金がなかったので、近場の奥多摩や奥秩父ばかり登りながら関連文献を読んでいると、昔この辺りで世間を震撼させる大事件が起きたことを知った。それが秩父事件である。その後は、事件を扱った映画「草の乱」を劇場では見る機会を逸してDVDで見たりしたが、いつしか決起から敗走に至る彼らの足跡を辿ってみたいと思うようになった。

Photo 黒線が困民党の足跡、赤線が第1回、青線が第2回、ピンク線が第3回のトレース経路、P点は以下の写真をとった場所

最初にトライしたのは盛夏だった。まずは秩父駅近くの羊山公園に事件の慰霊碑があるとのことで探したがわからずじまい、次に事件の首謀者である田代栄助の墓を探したが、これも不明。どうも秩父市民にとっては、一部の人を除き、事件は忌まわしいものとして触れられたくないことのようである。それでは椋神社で決起してから大宮郷を襲撃したコースを反対から辿ろうと峠に差し掛かったら後輪がパンク、久しぶりのチューブ交換に手間取ってしまい、時間切れで椋神社で断念して、杉並の我が家まで自転車で帰ることにした。

Photo_2 困民党が決起した椋神社

翌月、まだ暑さが残っている時期にまたやってきました。ただ前回と同じコースを辿ってもつまらないので、寄居にあるという事件の記念碑を見てから、次には彼らが秩父を制圧してから東京から来た憲兵隊と激突して敗れた粥田峠を通って秩父に入ろうとしたところ、またもや記念碑がわからず、粥田峠の道も見失って、それよりも南の峠を越えて秩父に入ることになってしまった。秩父までは3時間もかかってしまい、前途に不安が残るが、とにかく先を急ぐことにする。
志賀坂峠の登りに喘ぎながらようやく群馬県側に入る。上野村のふれあいセンターに着いたときはもう4時となってしまい、今から標高差800メートルの十国峠を越えるのは無理と判断して下仁田方面にエスケープすることにした。

年も押し詰まってきて、年内中に済ませておきたいということで3回目のトライをすることになりました。
前回エスケープした上野村までは下仁田からが一番近いが、それだと距離が短すぎるので、信越線の磯部駅からスタートする。
しばらく進むと、後方には雪の浅間山、前方には岩の妙義山が見えてきて、そのコントラストが見事である。

Photo_3 妙義山と浅間山

このあたりは道がわかりにくいのであるが、最近、携帯を買い替えてGPS機能付きにしたので、迷わずに済んで快調である。
下仁田を過ぎ、上野村までは400メートルの登りである。最後の200メートルの登りは長さ3200メートルのトンネルの中だが、後方から車に気を使って神経が疲れる。
上野村のふれあいセンターで食事をしながら、冷え切った体を温めた後、十国峠を目指して800メートルの登りである。

Photo_4 上野村ふれあいセンター

来週からこの道も通行止めになるそうで、ほとんど車も通らないし、もちろん人家もない寂しい道である。
高度計付きの時計をしているので、後なんメートルで峠だということがわかるのが救いである。
2時間ばかり登って、道が緩やかな下りになったので峠を越えたと思ったのはぬか喜びで、その先にまだ登りがあり、一頑張りすると本当の峠に着きました。

Photo_5

峠には上の写真のような展望台もあるが、この時期は誰もおらず静まりかえっている。
寒いので、休憩もそこそこに佐久側に下降する。
下りを一気に飛ばしたいところだが、所々に雪が残っているため、安全運転で慎重に下っていく。
それでも1時間ちょっとで下の国道に降りられ、コンビニでおでんを買って、冷え切った体を中から暖める。
駅はすぐそばにあるのだが、ここまで来たからには、秩父困民党が最後の戦いで敗れて全滅した東馬流を目指して、8キロばかり南下する。
馬流の戦死者の墓で黙とうして、困民党を辿る旅は完結した。

Photo_6

松方デフレ財政により生糸が暴落して困窮した養蚕農家が中心となって、「恐れ多くも天朝様に敵対する・・・」と言って決起した秩父事件であるが、時の最高権力に向かって戦いを挑んだという点が従来の農民一揆や打ち壊しなどとは大きく異なっている。それは自由民権運動の影響により、民衆に主権があるという自覚があったことに起因していると思われる。
ただ彼らの限界は秩父を制圧した後の戦略を持っていなかったことである。他の地域で同時に民衆蜂起が起きることにも期待したが、それは単なる願望にすぎず、具体的な連携を伴ったものではなかった。
そのような限界はあったにしても、彼らの行動は日本の民衆史に燦然と輝き、いつまでも語り継がれていくことであろう。

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