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2013年1月14日 (月)

旭岳東稜

久し振りの冬期岩稜に行ってきた。七年ほど前にお隣の権現東稜を登って以来であろうか。
旭岳東稜は権現東稜よりもワングレードやさしくなっているが、権現東稜自体は特に難しく感じたこともなかったので、最初は気楽に考えていた。ところがネットで記録を見てみると、意外にも手こずっているし、数年前に同ルートを登った友人も大苦戦している。さらに今回の他のメンバー3人の多くは、この手のクライミングには慣れていないことも考慮して、心して取り組まなければならないと考え直した。その結果、通常は1泊2日のコースであるが、予備日を1日設け、2日目のアタック時は2時起き4時出発として行動時間に余裕を持たせることにした。そのため、暗い時間からの行動となることに備えて、固定ロープの設置と、スノーバーの携行と万全の準備をして臨むこととした。

入山初日の駐車場は、前夜到着時には皆無であった他パーティーの車が多数停車しており、我々は最後尾の出発となってしまった。途中一ヶ所で道を間違える時間ロスがあったが、お昼頃に出合小屋に着く。少し先の二又から上ノ権現沢に入り、すぐに旭岳東稜への登路であるルンゼを詰めて稜線に立つ。翌日の行程を考えると、少しでも上部まで行っておきたいところであるが、四人用テントを張るスペースは上部には限られているようなので、2時頃に見つけたスペースにテントを張り、その後は私とOさんは上部にルート工作、他の二人は夕食の準備と隊を分ける。テント設営地のすぐ上部に懸垂用のロープ、そのすぐ先の下降気味の痩せ尾根にも10メートルほどのロープをセットする。さらに上部にもロープを固定しようと登っていくが、下から見る限りは五段の宮取り付きまでは樹林帯が続いていて、固定ロープの必要性も乏しく思えたので、ロープとスノーバーをデポしてテントに戻る。明日は早出なので、夕食後は早目に寝袋に入る。

翌朝は予定より少し遅れて4時半出発となる。テントを撤収して登り始めるとすぐに昨日セットした懸垂下降点に着く。
P1010465

暗闇の中の懸垂が終わってロープをまとめてから歩き出して次の固定ロープの箇所まで来ると、他のメンバーは通過し終わっていたので、私はOさんに確保されながら慎重に通過する。そこから先は急傾斜の樹林帯の中をひたすら高度を稼ぐ。昨日のデポ地点で装備を回収して再び登りだすと、しばらくして東の空が次第に赤く染まっていき、太陽が顔を出すが、五段の宮はまだ遠い。途中2パーティーに抜かれたが、五段の宮の下の雪壁まで辿り着く。Yさん、Oさん、Mさんに交互にリードしてもらってロープを固定して、他のメンバーはユマールで登り、私はラストでロープを回収し、その先端をセカンドで登る者のハーネスに付け、セカンドは固定ロープの上端に達したら、そのままリードしてロープを伸ばすという方法で4ピッチ進んだが、途中で2パーティーに追い越されてしまう。

五段の宮の取り付きに着いて見ると、岩稜と草付きにそれぞれ1パーティーが登っており、我々の前に2パーティーが順番待ちしているという大盛況である。
P1010468
岩稜を登っているパーティーはかなりうまい連中でドライツーリングの要領でピックを岩に引っかけてスイスイ登っていく。遠くから見る限りではかなりホールドも豊富に見えたので、普通の登り方でも十分登れるように思えた。
岩稜パーティーが2ピッチ目になっても、順番待ちのパーティーが取り付こうとしないので、変だなと思ったら、彼らはみな草付きルートだということがわかり、我々が岩稜ルートに取り付くことになる。まずは先行パーティーと同じようにドライツーリングを試みるが、引っかける岩の部分が水平ならまだしも、斜めになっているので、その斜面と垂直方法にブラさずに加重しなければならない。理屈ではわかっているが、普段そんな練習はやったことがないので、体が反応せずに早々とあきらめる。次に右足をハイステップして立ちこめば、上のホールドに届くことはわかったが、荷物が重いので無理だということがわかった。最後はもう少し下の外傾したスタンスに上がっても、上のホールドに届くこともわかったが、フラットソールだと問題なく足を置ける外傾スタンスがアイゼンだと滑りそうで恐くて乗ることができない。
万策つきて敗退という文字が頭をよぎったが、ここは窮余の一策で空身で登ることにして、右足のハイステップで乗り切る。その上のテラスでザックを引き上げて再び荷物を担いで登り出す。その上は正面の直登も出来ないことはないと思えたが、傾斜が急なこともあり、左側から回り込んで灌木を利用して上に這い上がることにした。ここもなかなかパワーを必要とするところであった。その上は右側から回り込むのだが、クラック登りができたので、なんとか乗り切ることができた。トポではⅣとなっているが、体感的にはⅤ+はあるように感じた。後続のYさんは比較的スムーズに登ってきたが、Mさんは荷物を背負って登ることができず、確保地点まで空身で登ってもらうことにした。その間にもう1パーティーの後続が来たが、彼らも草付きルートの方へ行ってしまった。結局、本日の6パーティーのうち、岩稜を登ったのは我々を含めて2パーティーだけだった。

2ピッチ目はⅢなので、比較的楽に通過する。これからはナイフリッジを5ピッチで縦走路に出る。最終ピッチは暗くなってきたのでヘツデンをつけて登る。最後のOさんが旭岳山頂に到着したのは6時ちょっと前だった。ここからは一般路なので気軽にと行きたいところだが、私はリードの緊張から解放されたためかどっと疲れが出て、他のメンバーから遅れ気味になる。Oさんが、私のロープを持ってくれるというが、リーダーが荷物を持ってもらったのではサマにならないので、皆に遅れないように必死に頑張って行く。
ようやくツルネに着き、ここからはツルネ東稜を一気に下るだけだ。このころには私もやっと元気が出てきて、ビバークはせずに済みそうになってきた。それでもツルネ東稜は長かった。日付の変わる前になんとか出合小屋まで辿り着く。そこから駐車場まではまだ3時間ほどかかるので、もう本日は営業を終了しましたといわんばかりで、テントを張ってしまう。予備食としてビスケット類はあるのだが、食欲がわかないので、小屋の手前で汲んだ水を沸かしてコーヒーや白湯で喉の渇きを癒して横になる。

翌朝は本格的な雪だったが、先行パーティーが通った後なので、ラッセルは免れたが淡々と駐車場目指して歩いていく。最後は背中の張りに耐えて駐車場になんとか辿り着く。これで帰りに温泉にでも入れれば最高だったのだが、大雪のために高速は通行止め、一般道は大渋滞という中を家路を目指すことになってしまった。

久しぶりの冬期登攀を予備日も使ったにせよなんとか登れたこと自体はうれしかったが、以前に隣の権現東稜を登った時と比べると、体力・技術とも衰えは隠しきれず、ホロ苦い気持ちを味わうことになってしまった。



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