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2013年5月 1日 (水)

白峰南嶺縦走及び下山

二日目は携帯が圏外でブログの更新ができなかったので、3回分をまとめて更新します。

<縦走初日>
期待した日の出は北側の山に遮られて見られなかった。
伝付峠に上がって笊ケ岳目指して南に向かう。稜線直下の夏道は雪に隠れていたので尾根通しに行く。しばらくすると稜線上も雪が現れるが、柔らかいのでアイゼンは着けない。右手には南アルプスの大展望が望めるのだが、樹林帯のため木の葉通しにか見られないのは残念である。
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笊ケ岳までのコースは地図では破線となっていて丸2日と書いてあるので予定が立てられず、縦走初日は行ける所まで行くことにする。
意外に調子よく登れて行程も捗ったので、この分なら今日中に笊まで行けるかなという期待も抱いたが、早朝からの行動ということもあって黒桂岳の登りでバテてしまい、頂上直下でテントを張る羽目となる。笊からはだいぶ手前で、この遅れが明日以降にどう影響するかが気がかりだ。

<笊ケ岳登頂及びランカン尾根下降>
前日の行程の遅れから当初予定の青薙山を経て静岡側に下るのは明日の最終バスに乗り遅れるリスクが出てきたため、笊からランカン尾根を山梨側に降りることに変更する。ランカン尾根には一般登山路はないが、昨年知り合いが下山に利用したとのことで、簡単なバリエーションルートがあるらしい。
素晴らしい日の出を見てから笊に向かう。
P1010694
途中いくつかのピークを越えていく。這松尾山はコースを少し外れた北側にあるのだが、そのことに気づかずに頂上を目指す。ところが途中で振り返ると、笊へ向かう道と反対方向に向かっているではないか。慌てて来た道を戻ることとするが、たまたまその場所が白峰南嶺には珍しく、樹林が切れて南アルプス主脈の展望が得られる場所だったので、しばし休憩して眺望を楽しむ。
P1010702
笊を最終目的に変更したので、ゆっくりと笊の眺望を味わいながら登って行く。今朝の予定よりも1時間遅れの11時登頂である。連休たから南側の布引岳方面からの登山者がいるかなと思ったが無人であった。これで昨日の朝に伝付峠入口であって以来、下山まで誰にも会わないことになりそうだ。
P1010710
頂上で360度の展望を楽しんだ後らんかん尾根の下降を開始する。踏跡がないので灌木交じりの雪壁を適当にクライムダウンしながら下の方に見えてきた尾根状の地形をめざして降りていく。
尾根を下り始めてからも迷いやすい所やしょっぱい所がかなりあって時間がかかり、今日の最終バスには間に合いそうもなくなってきた。ヘッドライトをつけての行動では目印の赤テープを見つけるのは困難なため、尾根上では数少ないテントスペースを見つけた時点で、そこにテントを張ることにする。
テントを張り終えるとあたりは夜の帳が降りて、いつもならば夕食の支度にかかるところだが、水が一リットルしか残っていないため、大半を明朝のラーメン用に確保し、今晩は酒とつまみだけで我慢することになった。こんなことになるんだったら、上部の雪のある所で袋に詰めてくるんだったが、後の祭りである。

<下山>
今日は天気が下り坂だが、雨が降る前には下まで降りてしまおうと気合いを入れていく。大金山まで降りると林道らしきものが現れる。その割には車が通った跡かないのが妙であたが、ほとんど登山は終わったような気分になっていた。
林道というのは普通は尾根よりずっと下の沢沿いに作られるものだが、この道はほとんど尾根上にあるので妙だなと思ったら案の定、1時間くらい歩いた所で林道は忽然と消えてしまう。まわりを見回しても、別の道は見当たらない。ただ尾根自体は北の方に連なっているので、このまま進めば登山道のある沢に合流するようだし、他には選択肢がなかったので行ってみることにする。朝方までのような赤テープは一切ないので、尾根が分岐する所ではコンパスとGPSを総動員して進路を決めていった。
降りるに従って道は悪くなっていくが、なんとか下の沢に降り立つことができた。すると左右に赤布が見られ、バリエーションルートにいることがわかる。地図ではすぐ下からは一般登山路となっているのだが、そこまで辿り着くのが大変だった。
沢を水流通しにしばらく降りていくと、ロープ伝いに川原に降りるようになる。そこから先は川幅が狭まって、自分のいる左岸は水流通しも高巻もできなくなってくる。そこで右岸に徒渉して様子を探ってみる。こちらも水流通しに少し進めたがすぐに行き詰まってしまう。岩壁が高くて高巻は論外である。先程の左岸の下流の上部には赤テープがいくつもあるので、そこがルートであるのがわかるが、そこまでどうやって行くかが問題である。赤布直下の岩はとても登れそうにないし、そこは水流が激しくて渡ることさへできそうにない。かといって左岸に戻っても前進不能なことは先程確認済みであり、袋小路に入ってしまったかのようである。弱ったなと思ったが、こんな経験は何度もあるので、まずは荷物を下ろして落ち着いて考えてみる。

対岸に赤布が並んでいる以上はあちらがルートであることは間違いない。そして手前の赤布まで下からは直接登れない以上はもっと上流に高巻地点があるに違いない。上流まで戻るのは面倒だが、安全のためには労力を惜しんではならない。
上流に戻るために、先程よりもやや下流に渡って壁を見上げると、対岸からはわからなかった岩の弱点が見えてきた。一ヶ所凹角が走っていて10メートルほどの高さの中段にテラスがあり、太い木まであって、そこから上は傾斜が落ちている。下部は垂直だが、凹角の左右を突っ張って登れば、空身なら問題なさそうだ。
中段まで登ってから、こんなこともあろうかと用意してきた細引きで荷物を引き上げる。さすがに3ミリで20キロ近くをあげるのはつらかったが、なんとか頑張り、そこからは荷物を担いで登ると、先ほど見えていた赤布に続く踏跡の所に出る。ずっと左の方から固定ロープが続いていたので、予想したとおりに上流の方から高巻の道が来ているのだろう。とすると、先ほど、河原に降りる時に使った固定ロープは一体何だったんだろう。
赤布に導かれて下流に進むと、やけに赤布が増えてきて、左岸からの支流と合流する。地図ではそこからは一般登山道と合流するはずなので、支流の対岸を見ると赤布が見える。ロープと木の枝に掴まって20メートルほど登ると、昨日までは見たこともないような立派な登山道に出る。しばらくすると林道に出るが、朝方には林道が途中で消えるという珍事に遭遇したので、まだ安心できない。堰堤が現れて初めて、これで登山は終わったと安心する。やがて奈良田からの道と合流してバス停に到着して4日間のエキサイティングな行程を終えることができた。

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コメント

vibramさん こんにちは
連休中は家に居るNobです。
白峰南嶺縦走の記事、楽しく?拝見しました。
下山の厳しさが文中にひしひしと伝わってきました。
それにしても、よく事故を起こすことなく下山できましたね。
終始落ち着いた行動が良かったのでしょうが、本当にエキサイティングな縦走だったのですねえ。
笊ヶ岳侮るべからずですね。

投稿: Nob | 2013年5月 3日 (金) 08時53分

下山の難しさ、よくわかりました。落ち着いた行動の文章参考になります。昨年笊ヶ岳からの赤石、聖の展望はかないませんでした。
今年は再度笊から写真の光景を眺めてみたいと思います。

投稿: ちょう | 2013年5月 4日 (土) 07時47分

Nobさん、コメントありがとうございます。
今回は事前調査不足でした。
沢の中で立ち往生してしまったときは、本気モードになってしまいました。

投稿: vibram | 2013年5月 6日 (月) 09時24分

ちょうさん、こんにちは

白峰南嶺はほとんどが樹林帯で展望が得られにくいところが多いのですが、笊頂上からの南アルプス主脈の眺望は素晴らしいです。
ぜひ、こんどはお楽しみください。

投稿: vibram | 2013年5月 6日 (月) 09時30分

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