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2014年11月17日 (月)

大同心

来夏に予定しているマッターホルン一般ルートのガイドレス登山のトレーニングを目的に参加予定者四人とともに八ヶ岳大同心に向かう。途中で車のトラブルがあって美濃戸口出発が11時前となってしまうが、冬型によって20メートル近い強風が予報されていて、今日は南稜の登はんは無理らしいので、出発時間が遅れることによるデメリットは特にないと思われる。

歩き出してしばらくすると、雪に覆われた山波が見えてくる。季節風の吹き出しによる例年になく早い初冠雪となったようである。赤岳鉱泉近くまで来ると大同心の偉容が目の前に広がってくるが、雪がびっしりと張り付いている。特に傾斜の強い正面よりも、今回登る予定の傾斜の緩い南稜の雪のつきかたが激しい。この状態では明日になっても急には雪は融けないだろうから南稜は諦めた方がよいだろうし、南稜取り付きあたりも風が強そうだから、ビバークするにしても樹林帯でないと難しいだろう。
P1030630翌朝の大同心

赤岳鉱泉に着くと、悪天候のためか土曜日だというのに登山者の姿もまばらである。同行者からは、大同心稜は急傾斜でビバーク適地もないのでここでビバーク訓練をしてはどうかという意見もでる。しかし、そもそも今回ビバーク訓練をすることになったのは、マッターホルンのガイドレス登山を行ったパーティーには1日でヘルンリ小屋まで戻れずに途中でビバークに追い込まれている例も少なくなく、その場合には狭いテラスといった条件の悪いビバークとなる可能性も高いが、私以外の同行者はそのようなビバークをした経験がないようなので、一度経験しておいた方がよいと思われたからである。その意味からは急傾斜地でのビバークは願ったり叶ったりということで大同心稜を登り出す。

200メートル近く登って日没も迫った頃にビバークに入る。この場所では必要はないが、岩場でのビバークを想定して、セルフビレーと全装備の吊り下げを行ってから2パーティーに別れてツエルトに潜り込む。ツエルトの中ではまずはコンロに火をつけてお湯を沸かし、フリーズドライの混ぜご飯の入った袋にお湯を入れるのだが、平らな場所はないので、こういった状況には慣れている私が両足で挟み込んだコンロの上にコッヘルを乗せるが、ひっくり返したら大やけどは必至なので、全神経を集中して作業をおこなう。隣のツエルトでは狭くてコンロに火もつけられないというので、隣のツエルトの分の食事も一緒に作ってあげる。
P1030628

18時頃に食事を済ませると、後はやることがなく、12時間もの長い間ひたすら耐えるだけである。しっかりと着込んでいるので寒さはたいしたことはないが、窮屈な姿勢を長時間続けていると腰が痛くなってくる。それでも私は立木に足を突っ張ることができるので、なんとか体勢を維持できたが、隣の人は下の方に滑り落ちてしまって、辛うじてツエルトに支えられて、それ以上の落下を免れている状態である。

両ツエルトとも夜中に張る位置を変えて、多少は寝心地を良くして、なんとか朝を迎えることができた。夜中にさらに雪が降ったこともあり、これ以上の登高には意味はないので、赤岳鉱泉に降りて、ビバーク用のビスケット等の朝食を摂る。

今回の山行の目的のひとつであったビバーク訓練はそれなりの成果はあったので、このまま美濃戸口まで降りてしまうつもりであったが、途中でメンバーの一人から、もうひとつのトレーニングとして事前に資料も配布した多人数で懸垂下降する場合の効率的な方法についても形だけでもやってみたいという希望が出されたので、林道脇の斜面の立木を利用して行ってみる。傾斜がないので臨場感には欠けるが、システム自体は皆さん理解されたようだし、システムの改善点も出されて有意義な時間を過ごせた。
大同心を登るという目的こそ果たせなかったが、マッターホルンの準備という目的は十分に果たせたので、充実感をもって下山することができた。

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