百名山97座目の荒島岳登頂
荒島岳は百名山の中で最も登りたくない山だった。百名山でなかったらおそらく誰も知らない不遇の山であったろうに、選者の深田久弥の故郷の山ということで選ばれただけの百名山に最もふさわしくない山だと自分は思っているからである。そんな山に登る気になったのは、百名山のゴールが間近になったこともあるが、北陸新幹線の開業も大きい。JR全線乗車を目指している自分にとっては、荒島岳に登ることにひっかけて、北陸新幹線と越美北線の二つの未乗車路線に乗れるのは一石二鳥である。ついでに、このあたりでは一番有名な能郷白山も登り(深田久弥も荒島岳といずれを百名山とすべきか迷ったらしいが)、さらには帰り道に永平寺に泊まって座禅を組んでこようという欲張りな計画である。
荒島岳の登山口である勝原までは新幹線経由で切符を買うと往復で32千円くらいだが、大人の休日倶楽部会員限定の北陸フリーきっぷだと22千円とお買い得である。さらにこのきっぷを買うと座席指定もできるのだが、出発間際だったため、全車指定席のかがやきの乗車予定列車は満席であった。自由席のあるはくたかでも間に合うのだが、福井駅での待ち合わせが短かくなってしまうため、やはりかがやきで行きデッキで立ちっぱなしで過ごすことにした。もっとも長野駅でほとんどの乗客は降りてしまったため、空いた席に座ることはできたのだが・・・
金沢駅と福井駅では1時間近くの待時間があったが、中途半端な時間だったので無為に過ごす。
荒島岳の登山口の勝原は終点の2つ手前だが、越美北線の全線乗車を目指すために終点の九頭竜湖までいってから勝原に戻って、荒島岳に登り始める。コースタイムは6時間強だが、4時間弱で登らないと数時間に1本の電車に乗り遅れてしまい、後の行程がかなり厳しくなってしまう。標高差約1200メートルは大倉尾根とほぼ同じなので十分勝算はあったのだが、3時近くに取り付いたせいか、下山してくる登山者からは「今から登るんですか?」と何度も聞かれる。結局、頂上に着いたのは5時10分で2時間20分かかった計算になる。
すぐに下山を開始するが、乗るつもりだった電車には30分近く遅れてしまう。これからどうするかを腹ごしらえしながら思案する。最終電車までは2時間近くもあるので、自転車で出発することにする。能郷白山の登山口である温身峠まで40キロ以上登って仮眠をするつもりであったが、走り出した途端に雨が降ってきて気勢を削がれる。
しばらく進んだ所で自販機が現れ、左方向に山に向かう道が分岐している。この道は、当初予定していた越前大野駅から能郷白山登山口に向かう道に合流しているはずだが、どうも気が進まない。今は9時過ぎなので登山口に着く頃には日付が変わっているだろうから、雨の中、暗闇の登り坂を長時間ペダルを漕ぐことになる。しかもテントを持参してない今回は雨の中で仮眠しなければならない。やめよう!能郷白山は次の機会に回し、今回は大野市内に宿を求めることにしようと気が変わってしまった。
大野市内の旅館で旅装を解いて寛いでいると、家内からメールがあり、体調が良くないので帰ってきてほしいような文面である。心配するような状態ではないようだが、知らせをもらった以上は帰らざるをえない。永平寺も次回としてキャンセルするか。能郷白山を諦める気になったのも、虫が知らしたのかもしれない。能郷白山に向かってたら簡単には帰れなくなるのだから。
翌朝は大野の町をぶらついてから福井方面に向かう。大野という町は事前になにも調べてこなかったが、昔の風情を残したなかなか魅力的な町である。たまたま月に二度開かれる朝市の日にぶつかったが、よくある観光客目当てのものではなく、地元の人相手に近在の野菜を道端で販売する本来の市であった。
大野からは、そのままJRに乗って帰ってもよかったのだが、時間が余っているので自転車であちこちを観光することにした。まずは一乗谷の朝倉家の遺構に立ち寄る。建造物はなにも残っていないので、今一つピーンとこない(想像力の欠如か)。その代わりに近くに史料館があったので、そちらで、いろいろと興味深いものを見ることができた。次は永平寺である。今晩の参籠をキャンセルしたので、せめて参拝だけでもと出掛けてみた。
峠の登りがなかなか厳しく、一度は歩いてしまった。永平寺はさすがに名前が通っているだけあって観光客で賑わっていた。自転車を停める場所がわからなかったので、近くの土産物屋の奥で食事をとることにして、店の横に自転車を置かせてもらった。注文したのはもちろん精進料理である。本当ならば、今晩食べたであろう料理を一足先に頂く。意外とボリュームもあり美味であった。
肝心の永平寺であるが、拝観料は500円とられたが、仏殿から法殿まで広範囲に参拝することができ、撮影もお坊さんの顔さへ撮らなければ自由と、他のお寺ではなかなか見られない開放的なお寺であった。
1時間近くを過ごしてから、一路福井を目指して山を降りる。尻切れトンボ気味ではあったが、終わってみれば盛り沢山の2日間であった。
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