アクシデントのためマッターホルン撤退
朝一番近くのゴンドラでシュバルツゼーに上がり、3時間半でヘルンリ小屋に到着する。ところが小屋周辺の様子がどうもおかしい。小屋が本年から改築されたことは知っていたが、昨年までは黙認されていたらしいキャンプ場が小屋が拡張されてスペースがなくなっったためか、見当たらなくなってしまったのだ。幸い、小屋はまだオープン前で小屋の人も入っていないようなので小屋の前に強引にテントを張ってしまう。以前のキャンプの記録では近くの流水を利用しているとのことだったが、登ってきた道を少し戻った所でしか流水はなかったようなので、水汲みとルート偵察の二組にメンバーを分けることにした。
ルート偵察の方は、取りつきの固定ローブを越えてしばらく進んでみたが、ソルベイ小屋直下のモスレイスラブが雪に覆われている以外は雪のない道を進められることを確認し、登頂成功の鍵は雪の付いているモスレイスラブが突破出来るか否かにあることがわかってヘルリン小屋前に戻った。
小屋に戻ってみて、水汲みメンバーの報告を聞いて愕然とした。流水は石灰分を大量に含んでいて飲用には適さないというのだ。こうなっチた以上は小屋の上部にある積雪を融かして水を得るしかない。流水利用を前提とした燃料の用意しかないため、果たして必要な量を確保出来るかどうかが不明であったが、とにかくやってみるしかなかった。
まずは第一回目の水を作ってみると、なんとその中にも多少の石灰石が混じっているではないか。風で飛ばされた小石が堆積したものだろうが、この程度ならば飲用には差し支えないという気はしたものの、メンバーの中には不安を訴える者がいる以上は、この方法もとり得ない。となると結論はマッターホルンは断念して下山するしかない。
その晩はパンとスープにサラダの極力水を使わない夕食で済ませて、明朝は始発のロープウェイに間に合うように下山することとして早めに寝てまうことにした。
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