さらばアルパイン
今年65歳になるのを機会に今年いっぱいでアルパインから足を洗うことを決めていたが、今回の事故でようやく足を洗うふんぎりがついたといってよい。
若い時と通算すると、アルパインをやっていた時期は25年間と四分の1世紀にもなる。その間には家族や関係者に心配や迷惑をかけ続けてきたことを深くお詫びをしたい。それと同時に長い間よく無事に登ってきたものだと思うとともに、その間に経験した喜び、辛さなどすべてのものが、自分にとっては珠玉のように大事なものとなっているし、自分の人生に計り知れない影響を与えてきたといってよいだろう。
自分が登ってきたルートの数を数えたことなどないが、100を優に越えていることは間違いない。そのうち、ガイドとともに登った数本を除くと、おおよそ3分の1は自分と力量がほぼ同等のものと、残りは自分より経験の浅い人と登ったことになると思うが、いずれの場合も1度もパートナーを死なせることなく、アルパイン人生を終えられたことをまずは喜びたい。このことは、全く幸運の賜物としか思えないが、自分としてはある意味で誇りに思っている。どんな素晴らしいルートを登ろうが、死んでまってはなんにもならない。パーティーが無事生還してこそ、なんぼであることを今回の事故を通して痛感した。
これからしばらくは年寄の繰りごとだが、今まで行ってきたアルパインの思い出に浸りたいので、よろしかったらお付き合いください。
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コメント
こんにちは
ブログが再開されて安心しました。
報道を聞いて屏風の事故の一人がvibramさんだとすぐにわかり、続報をかたずをのんで待っていました。
「無事救出」の報に本当に安堵。
くわしい状況はわかりませんが、こうしてブログを再開されているだけで私はうれしいです。
思い出のルート国内編はじっくり読ませてもらいましたよ。
記憶力もさることながら、自己評価を正確になさっているようで尊敬します。
これからも多方面での活躍を期待しています!
投稿: Nob | 2015年8月27日 (木) 16時28分
Nobさん、ご心配をおかけしました。
事故についても、いずれ機会を見て書くつもりですが、しばらくお待ちください。
アルパインをやめて寂しくないといえばウソになりますが、あの恐怖を味わなくて済むという安堵感の方が大きいです。
マラソンを止め、アルパインも止め、だんだんと終末が近づいてくるような気もしますが、やっと真っ当な人間になってきたというべきか
投稿: vibram | 2015年8月28日 (金) 07時31分