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2015年11月16日 (月)

憲法押しつけ論の誤り

今度の参議院選挙では与野党逆転を果たして、戦争法廃止の足がかりをつかむつもりだが、敵もさるもので、参院でも3分の2以上を占めて憲法改正の国民投票に持ち込む魂胆らしい(そんなことをさせてたまるか!)。改憲派の主張の根拠として現行憲法はアメリカに押し付けられたものだから、自主憲法を制定しようとするものがあるが、それがいかに表面的な見方に基づくものであるかということにふれてみたい。

現行憲法がたとえ押し付けられたものであっても、その内容が素晴らしく、平和や自由を希求する国民の願いに合致しているものであれば全く構わないではないかと思っていたが、いろいろ調べてみると押し付け憲法という見方は当たらないという結論に達した。なるほど、表面的には当時の占領軍であるGHQから呈示されたものが現行憲法となったのは事実であるが、当初にGHQからの命令で日本側から出された新憲法の原案は明治憲法を焼き直したものに過ぎず全く問題とならなかったので、GHQが参考となる資料を探したところ、民間の憲法学者である伊藤安蔵が発表した憲法原案が素晴らしいものであることを発見したので、それを基に現行憲法が作成されたらしい。伊藤安蔵も自分の頭だけで考えたのではなくて、明治時代の自由民権運動以来の我が国における憲法議論を参考にして草案を作成したとのことである。ということは、現行憲法は明治以来の我が国の民主主義を求める運動の集大成として作成されたということが言え、押し付け憲法という主張はいかに表面的な見方に過ぎないかということが言えるであろう。

余談になるが、民衆史という分野を開拓された色川大吉先生が五日市の民家から発掘された自由民権運動期の憲法草案が明治憲法と比べて民主性の高いものとして評価され、五日市憲法として脚光を浴びた。伊藤安蔵が直接には五日市憲法を読んではないかもしれないが、自由民権運動において共有されていた思想が五日市憲法に活かされたであろうから、五日市憲法の思想は現行憲法にも引き継がれてきたといって間違いないであろう。美智子皇后が五日市憲法に感銘を受けたということが報道されたことがあったが、現在の天皇家は皇太子も含めて現行憲法擁護派のようである。集会デモの際に右翼の街宣車の車体に大きく「天皇は国民を餓死させないでください」と書いてあり、最初はなんのことかと思ったが、多分、彼らの崇拝する天皇自らが、護憲派であることへのジレンマの表現なのだろう。

安倍晋三に告ぐ。あなたたちの崇拝してやまない天皇も現行憲法を支持しているのだぞ。それでも改憲しようとするのならば逆賊呼ばわりされることとなるが、それでもいいのか!

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