自民党憲法改正草案を読む
安部政権がいよいよ本性をあらわにして憲法改正を前面に打ち出してきた。自民党の憲法改正案については断片的に知るのみであったが、まずは敵を知ることが大事であると、自民党の憲法改正草案をじっくりと読み、その問題点を整理してみた。草案原文は以下を参照されたい。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
9条関係では当然のことながら(?)、集団的自衛権が規定されているが、このために戦争放棄条項は完全にお飾りとなり、もはや平和主義とは呼べないものとなっている。
国民主権という言葉自体は残されているか、常に元首である天皇と並列的に記載されているため、真の主権者が誰であるかは明確となっていない。
基本的人権や表現の自由の尊重といった文言自体はあるものの、いずれも(政府の恣意的な判断により)制限しうるものとしている点において、現行憲法から大きく後退するものである。
そして最後になるが、最大の問題点は緊急事態条項という実質的には戒厳令とも言える制度の新たな導入が目論まれていることである。なにが問題かといえば、発動の要件や人権の制限に対する救済手段が不明確だからである。そもそもこの条項の必要性は疑わしいものである。あの原発事故直後の混乱を検証してみても、原発事故の特別法で対処可能であったし、「戒厳令」を敷く必要性は全くなかったのである。北朝鮮の暴走やISに象徴されるテロの脅威に対する国民の不安に悪乗りしたものといえよう。
以上述べたとおり、安部政権の改憲論は極めて危険なものであるが、そのことが国民全体にはなかなか理解されず、一定の支持を受けていることは憂慮されるべき事態である。10%消費税の先送りを問うという大義名分でダブル選挙を行って衆参両院での三分の二の改憲可能な議席確保を目指す安部政権に対しては戦争法反対を上回る力を結集して闘わなければならないだろう。
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