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2016年6月19日 (日)

トランプ旋風による禍を転じて福となせ

トランプの共和党大統領候補指名が確実となり、英国のEU離脱派が優勢となっている現状は、他人の痛みに共感せず、異なる意見に不寛容となっている世界的な傾向を反映しているもので嘆かわしいことである。サンダースの貧困層支援の政策をクリントンが受け入れて、民主党が一丸となってトランプに打ち勝ち、暗殺された女性議員への同情票が残留派に流れて離脱をくい止めることを願うばかりである。

しかしながら仮にトランプが大統領になったとした場合には、日本にとっても一時的には禍となるだろうが、福に転ずることは可能であると思っている。それは日米軍事同盟の矛盾のほとんどすべてを沖縄に押し付けて、安全保障の問題を考えてこなかった大部分の日本人に大きな問題を突きつけることになるからである。

日米安保条約に関わる費用を日本が全て負担することは現実的に不可能なことなので、安保条約は事実上消滅せざるをえないが、その場合に日本の対応としては二つの方向が考えられる。右からの対応としては核兵器や空母といった攻撃的兵器の保有によって日本の安全保障を守ろうといった危険な主張がでてくるだろう。これに対してまっとうな意見としては、軍事力は専守防衛に限定し、平和国家の途を進むことによって日本の安全保障を保とうという考えである。

私の意見はもちろん後者であるが、それが実現可能であることを立証したい。まず第一に言えることは、日本の防衛力はフィリピンやベトナムとは比べ物にならないほど強化されており、仮に中国に日本侵略の意図があったとしても、相当な犠牲を覚悟しない限りは侵略は困難であるということである。

次に中国が本当に日本侵略するかとうかという点を考えてみたい。純経済的に考えれば、中国にとって貿易額の第二位にある日本を失うことは大きな損失であり、日本を占領できたとしても、日本に天然資源があるわけでもなく、唯一の資源といえる人的資源も、占領下では有効に活用できないということは中国指導部は十分わかっているはずである。

もちろん戦争の勃発が全て経済の問題だけで説明できるわけでないし、中華思想や覇権主義といったことも無視はできないが、そのためにある程度の防衛力を抑止力として有することの必要性はすでに述べたとおりである。ただし、この場合の抑止力は日米安保下における抑止力とは根本的に異なるものである。日米安保下においてはお互いに飛び道具で相手国を攻めるという前提での抑止力であったが、専守防衛における抑止力は、もし攻めこんできた場合にはそちらも相当な犠牲を覚悟しなければならないですよという意味での抑止力である。

そして最後に重要なことは、軍事同盟が解消して基本的に敵対関係が存在しなくなって初めて可能になることであるが、東アジアにおける集団安全保障体制を確立することである。この相手としては中国やロシアが含まれることはもちろんであるが、北朝鮮も含めることが望まれる。集団安全保障体制などというと夢物語のように思う人もいるかもしれないが、基本的な敵対関係がなくなり、経済的な相互依存関係が強ければ、決して不可能な話ではないと思われる。じゃあ尖閣はどうなるんだという突っ込みがあるかもしれないが、この問題は日中国交回復時の領土問題は先送りにするという合意にたち戻る以外に解決方法はないであろう。この問題がここまで複雑化してしまったのは石原のバカが東京都で土地を買い上げるという行動によって虎の尾を踏んだことにあるのだから、先ずは石原発言以前の段階に戻すよう日中両国での外交努力が望まれよう。さらには南シナ海における中国の国際ルールを無視した行動をシーレーンに絡めて問題にする向きもあるが、これは的外れの議論といって
よいだろう。既に述べたことであるが、日米安保が解消して敵対関係になく経済的な相互依存関係にある国に対してシーレーンの妨害をするとは考えにくいからであるが、万一妨害という事態が発生したとしても、フィリピン東側を通るルートを選べば、多少運賃は嵩むかも知れないが、「油断」という事態は避けられるのであるから、右翼の連中が騒ぎ立てるほどの問題ではないのである。そのように言えるのは向こう10年〜20年の間に中国海軍が第七艦隊を抑えて西太平洋の制海権を握るといった事態は想定しにくいということが前提になっているからではあるが。

以上述べてきたように、トランプ「大統領」が理不尽な要求をしてきた場合であっても、それを逆手にとって、自発的にはなかなか困難な軍事同盟の撤廃による真の平和国家建設の途が可能となるのである。もちろん、そのような国民的合意を得るには多くの困難が山積していることは重々承知しているし、まかり間違えば、危険な軍事国家となりかねないリスクを孕んでいることも認識しなければならないのだが

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