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2017年5月 4日 (木)

安倍首相の改憲案について

安倍首相が自民党総裁として唐突に表明した改憲案は自己の思いを大きく抑えて国民に受け入れ安いということを第一にしたものだと考えられるが、野党としては慎重な対応を迫られることになるだろう。

マスコミで報道された内容に限って論評すれば、改正項目の第一点である自衛隊の明記については目の敵である9条に風穴を開けることが主眼であると思われるが、国民からは支持を受けやすい内容であり、共産党でさへ過渡的には自衛隊の存在を認めている現状では野党としてどのような対応をすべきかが問われるだろう。一方、第二点である高等教育の無償化はこれを改正の目玉としている維新に配慮してのことであるのは明白であるが、憲法に規定すべき内容であるかどうかという典は別として、あえて反対すべき理由はないので論点とすべきではないであろう。

今のところ野党の反応としては、蓮魴代表は「改憲ありき」であること、志位委員長は「自衛隊の海外派兵が無制限になる」こととして批判しているが、これらの論拠だけでの反対で国民の広範囲な支持が得られるかどうかは疑わしい。そこで次のような対応をすることが望ましいと思われる。

すなわち、自衛隊の存在を憲法に規定すること自体には反対しないが、その前提として、憲法に規定する交戦権を個別的自衛権に限定し、集団的自衛権を否認することを明記するのである。

政府与党は解釈改憲により集団的自衛権を認めて安保(戦争)法制を成立させてしまったが、この解釈については未だに憲法学者をはじめとして多くの国民の批判を浴びているところである。このような国論を二分する状態となっている原因は否認されている交戦権の内容が不明確なまま憲法に規定されているからであり、そこを明確にせずに自衛隊の存在だけを憲法に明記しても、戦争法に従って活動する自衛隊の行動については違憲となるものがでてくることの疑いはぬぐえないであろう。あるいは実際の改憲案は自民党の草案にあったように集団的自衛権を認めたものになるかもしれないが、そうであれば、それに反対すればよいだけである。

もちろん、野党の主張は国会内では数の力で押さえられてしまうことは明らかであるが、そのような主張を野党が一貫して行っていれば、国民投票において発議案に反対することについての国民の共感も得られやすいであろう。

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