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2019年5月 6日 (月)

登山活動

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ベースキャンプ出発の日はまずまずの天気となった。頂上を目指すのはガイドと私の二人だが、高所キャンプまではコックとポーターも付いてきてくれて私の荷物を持ってくれるという。空身登山は自分のプライドが許さないが、それが今の実力と悟り大名登山をさせてもらうことにする(三浦雄一郎さんみたいな気分だ)。

 

前回は核心部の20メートルくらいにロープを張っただけだったが、今回は前日に100メートル近くも張ってくれてあったので、電車ゴッコのお客さんのような気分だ。おまけに稜線に上がると、前日のうちにテントまで張ってくれてあり、至れり尽くせりである。本当はもっと山頂に近い方にテントを設営してもらいたかったのだが、テントを移動してくれとは言いづらく、この地点からでも皆は山頂往復しているのだろうからと思い直したが、これが思わぬ失敗に繋がってしまった。

 

ハイキャンプの高度はベースキャンプやりも約700メートル高い約5500メートルで頂上までは約900の標高差である。前回はもう少し先にテントを設営したが、前回かかった高山病のようなアクシデントでもない限り、1日で十分に往復できる距離である。朝出発時の脈拍は68回/分だったのが、80までに増加はしているものの正常な範囲内ではあるし、特に高山病の自覚症状らしきものはない。強いて言えば、頭が心もちボワーッとしているかなということと、用足しの回数が減っているくらいである。できるだけ水分補給に努めることにしよう。

 

ポーターがベースキャンプに戻ってもコックは戻らず夕食を作ってくれた。ハイキャンプではフリーズドライ食品と相場が決まっているのに、ベースキャンプ並みの食事が味わえるとは予想外だった。コックは寝袋も持参しているようなので、明日一緒に登頂するのかもしれない。

 

翌朝は天気も良く39年前のような高山病の症状もなく、登頂できない理由を探す方が難しかった(その時はそう思ってた)。出発してしばらくは小さいアップダウンはあるものの、概ね平坦な道が続いていく。途中何ヵ所かクレバスがあるが、三人でロープて結びあっているので底まで落ちる心配はないし、クレバスを避けるために迂回しながら進んで行くので、
体力的には助かる。だが後半戦に入って頂上に向かっての雪壁まじりの急な登りとなってくると、何度も休みを入れないと登り続けられなくなってくる。

 

ちょっとした雪壁を登りきると、稜線に出て初めて山頂が間近に見えてくる。ここからだと二時間余りらしいが、時間は4時を回っており、山頂到達は日没前後となるだらう。それから、長い道程を無事に戻ってこれるかどうかは自信がなかった。そこでガイドに登頂断念を伝え、写真を撮ってから下降を開始する。明るいうちは先ほど登ってきた道を降りていることはわかったのだが、暗闇に包まれてしまうと踏み跡を伝っていくガイドの背中を追うだけで精一杯で、おまけに平坦地まで降りてしまってからは、高度によって現在地を確認することもできず、精神的な焦りも加わった疲労は極限に達したが、やがて高度はハイキャンプより、やや高い高度まで下がったのでハイキャンプまではもう少しの辛抱だと思ったその時に、ガイドが雪の斜面にスノーバーを打ち込んで、「ここから30メートルほど斜面を降りると、ハイキャンプに繋がる近道がある」という。半信半疑だったが下に降りて道とは云えない緩い斜面を横切っていくら行ってもハイキャンプに着かない。最後はスリップしそうな不安定な道を通ってハイキャンプにたどり着いたが、時間は2時前で全然近道ではなかった。何故そんな悪い道を近道だと偽って通らせたのか理由を尋ねても答えない。私の怒りも爆発して、明確な回答が得られなければ、エージェントの社長に報告するとまで思ったが、しばらくして気を取り直し、騒ぎを大きくして人間関係を悪くするのは得策ではないので、私のわからない理由については詮索しないことにした。

 

今回はハイキャンプをもう少し前進させるか、出発時間を数時間早めれば登頂できたのではないかと思うが、(6年振り、ネパール初の)六千メートルラインを越えるという最低の
目標は達成できたのでよしとしましょう。また39年ぶりのリベンジという点も、完全リベンジこそはできなかったが、前回進めなかったハイキャンプから先の道も頂上近くまで進むことができ、前回は高山病にかからなければ間違いなく登頂できたことを確認したことが収穫であると云えよう。

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