九州後半戦
前半はほぼ予定どうりに進んだ今回の旅行も後半は台風の影響で予定が大幅に狂ってしまったが、コロナ前からの懸案だった沖縄~鹿児島フェリー乗船と熊本・宮崎県境の登山はできたので良しとしよう。宮崎を出て二百名山である尾鈴山の最寄り駅である都農駅に向かうが、当日の天気予報は午前中は雨、午後は曇りということだったので、わざと宮崎出発を昼頃まで遅らし、都農駅から登山口まではタクシーを利用してサクッと登ってくるつもりであった。ところが、都農駅に近づくに連れて雨が本降りとなってきたので、尾鈴山は断念して急遽ホテルの予約を入れて延岡まで足を延ばすことにした。その晩はホテルの前にある居酒屋で焼酎とおでんを賞味する。
翌日も台風は沖縄方面にあって九州は直接の影響はないが、登山のコンディションではないので延岡市内に滞在する。実は東京を出発する時からくたびれていた運動靴が末期的な状態となってしまったため、購入しょうと駅周辺を探したが、グーグルマップではあるはずの店がなかったり、あっても運動靴は売ってなかったりという具合で買えず仕舞いであった。その時、昨日の居酒屋でタクシーで千円もかからない所にイオンがあると聞いたことを思い出したので、タクシーで行って見る。そこは、各種の店が入っているショッピングモールでイオンで運動靴を買えた他、100円ショップで何点かを購入した。帰りは少し離れた所から駅行きのバスが出ていたので、それに乗っていく。
午後は駅の待合室に行ってみると 書棚には旅行関係の本ばかりがかなりの分量あった。全国各地の駅を訪れているが、こんな設備のある駅ははじめてだ。冷房も効いているので、暇つぶしにはもってこいだ。飛ばし読みした本の中にネパールでロックアウトに遭遇した時のことが書いてある本があり、そういえば去年の夏は十日間の強制隔離があったことを思い出したが、それに比べれば延岡でロックアウトされているのに近い今の状態はずっとマシだなと思えてきた。もっとも、台風接近で今日明日は食事付きの宿としたので、缶詰状態に近くはなるのだが翌日は終日籠城生活となることを覚悟していたのだが、九州最接近は今夜半から明日早朝とのことであり、今のところ雨も降ってないので、せっかくだからと午前中に高千穂峡に行ってくることにした。
宮崎交通の一日乗車券を買うとお得とのことなので、始発となるバスセンターに行ってみると、なんと今日はお休みである。車内で買えばいいやと、しばらく待って高千穂峡行きのバスがやって来たので、運転手から一日乗車券を買おうとすると、車内では販売してないということでビックリ。ただ、コンビニでならば買えるとのことで、運転手さんも一緒にコンビニまで来てくれて販売機の前で格闘するが、なかなか難しそうで、お店の人まで来てくれてやっと買えた。発車間際にバス停に来たのではアウトになるところであった。
車内はがら空きで、さすがにこんな天気の日に高千穂峡まで行く人はいないんだろうと思ったら、高千穂峡の最も人気のあるスポwwットの真名井の滝のあたりは観光客でいっぱいで、滝の下にはボートが何そうも浮かんでた。みんな車で来るんだろうな。高千穂峡の次の人気スポットとしては高千穂神宮を初めとする天孫降臨にまつわる所だが、天皇制に関連するものは全て拒否している自分は、どこにも寄らずに延岡に戻った。
午後は一日乗車券を利用して市内を一望できる城山に出かけた。戦国時代の猛将・立花宗茂の実父である高橋紹運と同族の高橋氏を経て城主は次々と代わり、最後は内藤氏の居城となったとのことである。城郭は残っていないが、野面積みの石垣は壮観である。もっとも、お城に興味のない人には観光の対象とはならないようで、誰も見学者はいなかった。見学後も時間はあったが、台風が近づいていることもあり、早めに宿に戻った。
台風は深夜に九州に最接近したようで、朝には雨は止んでいた。今日は二百名山の大崩山の登山口の少し先にある小屋まで行くだけだから、駅近くで昼食後に出発するつもりであったが、天候も回復してきたことであるし、何があるかわからないので早めに出かけるに越したことはないと昼前に出発することにした。その代わり、小一時間ほど先にうどん屋があるとグーグルマップに出ていたので、電話で営業時間を確認してから出かけた。そろそろうどん屋に近いと思われるあたりに来たが、目指すうどん屋はいっこうに現れない。グーグルマップを拡大すると、道路から奥まった所にあるようなので、まわりを一周してみたが発見できなかった。たまたま近くに郵便局があったので聞いてみたが知らないという。郵便局でもわからないのであれば、しょうがないと諦めて少し先にある温泉でも食事ができそうだったので、もう一頑張りすることにした。キャンプ場手前までは緩やかな登りだったので漕いで行くことができたが、キャンプ場直前の登りでは自転車を降りて引いて行く羽目になる。さらに少し上の温泉まで引いて行くと、入り口には「支度中」の札がぶら下がっている。水木が休みで火曜の今日はやっているはずだとしばらく立っていると、中から人が出てきて「今日は休みにしました」とのこと、ガーンである。仕方ないので、持参したパンで腹を充たす。温泉前の広場に腰を下ろし、休憩がてら大崩山の景観を眺める。頂上より少し下には小積ダキという岩場があり、フリークライミングが登場する前は九州を代表するすけーるの大きい岩場として全国的にも知られていたが、フリークライミングの普及とともにすっかり名前を聞かなくなってしまった。温泉からさらに小一時間自転車を引いて登山口に着き、ここに自転車を置いて大崩山荘(無人小屋)を目指す。コースタイムは40分となっているが、自転車を漕いだり引いたりしてきた疲れのせいか1時間以上かかってしまった。ここまで来る途中で気になっていたのは、小屋から対岸の尾根の登り口までの沢の横断であった。地図から判断する限り橋はなく徒渉となる見込みだが、大雨により果たして可能かどうかということである。夕食前に水汲みを兼ねて沢まで降りてみる。沢は小屋の前で二手に分かれえいるが、水量の少ないと思われる手前の沢でもかなりの水量であり、ここからは見えない奥の沢は推して知るべしである。
翌朝は外が薄明るくなった頃に小屋を出て沢に向かう。手前の沢の水量は昨日よりも多少少なくなったようで希望が出てきた。ところが中洲に上がって奥の沢を見ると絶望的になった。激流でとても渡れる状態ではないのだ。どこか渡れそうなところはないかと目を凝らすと、少し下流に川幅が広くなって流れが多少は緩やかになっているところがあった。そこでズボンを膝まであげて水に入ってみたが、思った以上に深く優に腰まできそうである。流れもそこそこあり、この深さで徒渉するのは危険であると判断して退却することを決断した。登山口まで戻る途中で下から登ってくる登山者に出会う。沢の状態を話したが、とりあえず行くだけ行ってみるとのことだったので、気をつけるように言って別れる。
登山口まで戻って自転車を回収して後は延岡まで下るだけである。だいぶ下りたところで、このまま延岡まで下りても時間が余るばかりなので、寄り道して行縢(むかばき)山という山を登ることにした。1000メートルにも満たない低山ながら圧倒的な大岩壁を有していて全国的にも知られている(クライマーだけかな)山である。駐車場までは例によって自転車を引いて行き、そこから登山開始となる。登り出してしばらくすると、足にチクリと痛みを感じたのですぐに足を見ると、ちょうどヒルが足に食いついたところであった。すぐにふるい落としたので傷は浅かったが、久々のヒルの洗礼であった。別に毒があるわけではなく、しばらくは血が止まらなくなってしまうだけだが、夏の低山のジメジメしたところでは要注意である。危険のある山ではヒル避けの薬を持っていくのだが、飛行機搭乗時に没収されるかもと思って持参しなかったのが裏目となってしまった。
少し高度を上げて吊橋をわたると上部に行縢の滝が眺められる。全国各地にある滝の名所には名前倒れの所も多いが、ここは、今まで見た滝のなかでは上位に入る見事な景観であった。さらに登ると雄岳と雌岳の分岐点に出るが、両方を登る時間の余裕はないので、最高点である雄岳を目指すことにする。遠くからは岩山のようにみえるが、実際は樹林帯ばかりを歩くと思ったら、頂上直下には少しだけ岩が出てきて、頂上は岩山のてっぺんであった。頂上からは延岡市内が一望でき、360度の展望といいたいところだが、背後の今回敗退した大崩山方面は樹木が繁っていて展望が望めなかったのは残念であった。下りは往路を戻ったが 、結局誰にも会うことはなかった。平日ということもあるのかもしれないが、アプローチも短く展望も素晴らしくお手軽に登れる山なのにどうしてだろう。
延岡駅には6時前に着き、今回の旅の実質的最終日になるので、無事終了の祝杯をあげたいところであるが、今日の宿を予約してある佐伯までの列車が1時間以内に発車し、それを逃すと次の列車は随分と遅くなるので、とりあえずコンビニで酒とつまみを買って祝杯の練習を行い、佐伯に着いてから祝杯をあげることにした。明日は福岡空港までJRで移動して飛行機で帰るだけなので、後半戦のブログもこれで終わりとしたい。
| 固定リンク
「歩き」カテゴリの記事
- 神奈川県百名山(ミツバ岳、大野山)(2025.04.21)
- 関東百名山(帳付山。天丸山)(2025.04.17)
- 神奈川県百名山 鎌倉近辺の低山(2025.04.14)
- 神奈川県百名山(同角の頭他)(2025.04.11)
- 神奈川県百名山(畔が丸と周辺の山)(2025.04.06)
「自転車」カテゴリの記事
- 区内探訪(石神井公園他)(2025.04.11)
- 神奈川県百名山(風巻ノ頭、袖平山)(2025.04.01)
- 千葉・茨城県境付近のふれあいの道(2025.03.15)
- 東京百名山(浅間山他)(2025.03.15)
- 関東ふれあいの道 埼玉県(NO8,13)(2024.11.08)
「旅行」カテゴリの記事
- ベトナム旅行記(後半)(2025.01.22)
- ベトナム旅行記(前半)(2025.01.18)
- 小樽からの帰京(2024.07.16)
- 釧路から旭川への移動(2024.07.15)
- ひたち海浜公園 はとバスツアー(2024.04.25)
コメント