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2023年6月22日 (木)

キナバル登頂

朝7時前に登山口まで送迎してくれる車に乗り込む。別のホテルで二人が乗り込むということで中心街の方に向かう。停車したホテルは私の泊まったホテルよりもだいぶグレードが高いようであった。しばらくして二人連れが車せに乗り込んでくる。顔が良く見えなかったが、外人であることに疑い差し挟む余地がなかったので、「グッドモーニング」と挨拶をかける。その後もしばらくは気がつかなかったが、トイレ休憩で下車して車に戻ってきた時に日本語で話し掛けられてビックリする。船橋在住で現在はクアラルンプールに駐在している夫婦であった。
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10時頃に登山口に着き、入山手続きを済ませてからガイドと一緒に登りだす。日本人夫妻とは別のガイドで私の方が先行する。登山口の標高は2000メートル弱で山頂は4000メートル強だから標高差は2000メートル強となる。国内の山では最近は一人で登ることが多く、抜かれぱなしとなるのが珍しくないが、今日はガイドのペースに合わせて登ったので、抜きっばなしとなった。私の体力もまだ捨てたものでもないようだ。

天気は今ひとつて途中から雨が降り出したが、樹林帯の登りなのでさほど気にならない。一応上下の雨具を着けたが、傘だけでもいいくらいであった(ガイドはそうしていた)。展望もなく単調な登りで、途中で小屋が現れるたびに泊まり場に着いたかとぬか喜びしたが、外国人が泊まれる小屋ではなかった。

標高が3000メートルを越えると疲れが出てきたのかいつものペースに戻ってしまい、途端に抜かれっぱなしになってしまった。少し登った3200メートルを越えた地点に泊まり場の小屋があった。キナバルの岩壁を背後に控えた素晴らしい立地条件である。小屋到着は3時で、濡れた衣類を着替えたり、荷物の整理をしてから食堂兼ホールに下りて、外の景色を眺めながらコーヒーを飲んでのんびりする。小屋の夕食はバイキング形式で5時頃に食事する。明日の朝食は1時で2時出発なのでその間の睡眠はほとんど仮眠のようなものである。6時近くになってそろそろ部屋に戻ろうかと思った時に日本人夫妻が小屋に到着するが、奥さんはだいぶお疲れのようであった。私の隣の席で夕食を食べられたので、マレーシアについてのいろいろな情報を教えてもらった。

夕方から深夜にかけてかなり雨が激しく降ったが、1時に起床して外に出ると雨は止んでいて星さへ見えている。朝食を食べ終わり、2時半にガイドと出発するが、かなりの数の登山者が行列状態でキナバル山に向かっている。歩き始めは毎度のことながら調子が出ないので抜かれっぱなしになる。しばらくは樹林帯を登るので風も当たらず、厚着をしてきたために暑いくらいであった。

樹林帯を抜けて岩壁に入るが、太いロープが切れ目なく張られているので安心である。ただ夜中に降った雨で足もとがかなり濡れていたので、滑りやしないかとおっかなびっくりだったが、思ったよりも摩擦が効いているようであった。

夜が明けてくると前方にセントジョーズピークの鋭い岩峰が見えてくる。岩登りの対象で一般道はなく、めったに登られないようである。それに対して今回の目標であるロウズピークは五メートル高いだけであるが、一応は最高峰であり登りやすいということもあって四季を問わず多くの登山者が訪れているようである。

ロウズピークは稜線近くまで登ると見えてくるが、こちらも威圧感のある立派なピークである。最初に姿を現した時は夜明け前だったので登山者のヘットランプが点々と繋がっていたのが印象的であった。私が登った時はすっかり明るくなっていたが、相変わらず登山者は数珠繋ぎであった。登山路は明瞭で特別の苦労もなく登頂できたが、格別の感慨はなかった。長年暖めてきたわけではなく、ふっと思いついた計画だからだろうか。ただ知り合いにも話していたので、登頂できてホッとしたというのが実感である。
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登頂のお決まりである記念写真を撮ってから下山を開始したが、すぐに例の日本人夫妻のご主人とすれ違う。奥さんは調子が悪く断念したとのことである。もう少し下りたあたりで今日往復したコースを振り返って眺めると、すごい所にコースを作ったものたと感心する。その後は小屋に戻って今日二度目の朝食を食べる。といっても深夜用と同じメニューであるが(作り置きしておいたのだろう)

朝食後に登山口目指しての下降を開始する。小屋まで降りてきて登山は終わったような気分に一瞬なりかけたが、標高差1300メートルをまだ降りなければならないのだ。この標高差は富士山山頂から五合目までの標高差に匹敵するので、今日の行程は五合目から富士山までを往復して五合目に降りてきてバスに乗らずに浅間神社まで降りていくようなものである。小屋までの登りは5時間かかったので、登山口までの下りは1時間以上短縮できるかと思ったが、雨で濡れているヶ所が多く滑らないように慎重に下ったので、30分短縮できただけである。登りはもちろんだが、下りでも滑りやすいヶ所ではストックを用意しておいてよかったと思ったが、翌日からの旅行では無用の長物となるため、ガイドにチップ代わりにプレゼントしておいた(ストックの値段とチップの相場がほぼイコール)。

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