南米最南端の町を目指して
2月17日
足かけ4日間滞在したプエルトナタレスを後にして南米最南端を目指す旅に出る。ウシュアイアまで行けるバスは数日後でないとないということで、まずはプンタアレナスを目指すことにする。プンタアレナス行きの本数は多いので予約なしでも先発のバスの切符がとれた。もっともプンタアレナス行きのバスは既に停車していたが、このバスではなく、次の10時発のバスが私の乗るバスらしい。
定刻の10分ほど前にバスはターミナルに入ってくる。私の座席はラッキーなことに2階席の最前列で素晴らしい展望が得られる。そこそこ満席に近かったが、私の隣は空席だし、通路を隔てた席は若い女性の二人連れというこれ以上ない条件だが、3時間ほどで終点のプンタアレナスに着いてしまうのが惜しいくらいだ。
やがてブンタアレナスの手前の空港に着く。ここからもウシュアイアにフライトがあるんだけど、数日先まで満席だし、直前の購入だとバス代の5倍くらいしてしまうようだ。車掌が先ほどの女性を起こしにきたので親切なことだと思ったら、結局、女性客は降りなかった。単に女性客と話しをしたかっただけかもしれない。
プンタアレナスのバスターミナルは街の中心地にあり、下車するとすぐに翌日のウシュアイア行きの切符を買いに窓口に向かった。ところが、3日先まで満席というではないか。まあ、休みはいくらでもあるのだし、安宿に泊まって自炊もするようにすれば、たいして滞在費もかからないので二日間の足止めくらいはいいか
この日のドミトリーはよく考えずに選んでしまったので、中心街から小一時間も歩かなければならないところだった。当初の予定どおりに翌日の出発だとしたら、朝のバスに乗るために相当早く宿を出なければならず大変だった。そのため、翌日以降の宿泊は中心部の近くにとることとし、安宿ではあるがドミトリーではなく個室にした。
今晩のドミトリーは前面がマゼラン海峡で眺望が素晴らしく、内部も清潔で広く、朝食の内容もそこそこの割には1泊18USドルと安く、今まで泊まったドミトリーの中では一番といえ、これで中心部に近ければ言うことないんだけど。特にマゼラン海峡が眺められるのが最高で、ここを越えて太平洋に達したマゼランやカヤックで渡って南米大陸に上陸した関野さんのことを思うと感無量であった。
2月18日
このドミトリーは場所以外は文句の付けようがないのだが、朝早く出発するにはターミナルまて遠すぎることと、周りに店が全くない(そのために前日は休肝日となってしまった)ことが欠点となったいる。そのため、中心街近くのホテルに移動することにする。
昨日と同じ道を歩くと、ターミナルの少し先の公園にマゼランの銅像があり、観光名所になっているようだ。だが考えてみれば、マゼランは後のスペインによる南米植民地化の先兵になったともいえるわけで、ヨーロッパ系の人はともかくとして、(混血も含めて)先住民の子孫にとってはどういう思いなのか知りたかった。
本日の宿は場所はグーグルマップでわかったのだが、看板がでてないので少々迷ってしまった。料金は現地払いだが、代理店からのメールよりも15パーセントくらい高いものを請求されたので文句を言うと手数料だという。釈然とはしなかったが、それでも1泊六千円くらいだから「泣き寝入り」をしてしまう。
荷物を置いて食材を買いに行く。外食ばかりだと滞在費が馬鹿にならないからだ。あいにく、日曜日のため休みの店が多かったが、大きなスーパーが開いていたので助かった。チリ南部は最後の街となるのでチリワインも併せて買う。
ホテルに戻ってワインを飲み始めたが、温度もさほど高くないので2日は持つだろうと買ったチーズやサラミをかなり食べてしまい、明日の分は買い足さなければいけなくなってしまった。
2月19日
翌日のウシュアイア行きの予行演習で八時前にバスターミナルに行ってみることにする。経路は明確だが、出発場所がターミナルに間違いないかどうかを確認する意味もある。八時前にバスターミナルに着くとウシュアイア行きのバスが停まっていて乗客も乗り込んでいた。今日の予約が取れていたならば、途中乗り換えせずにウシュアイアまでの直通に乗れたんだし、プエルトアナレスに着いた直後に予約すれば、このウシュアイア行きが取れたかもしれない。ただその場合はプンタアレナスまで行かず、手前でこのバスに乗り継ぐことになるので、マゼラン海峡を体感せずにいたかもしれないので、やはり自分の選択は正しかったかなとも思えた。
帰りにスーパーに寄るつもりだったが、まだオープンしてなかったので、観光名所にもなっている街を見おろせる展望台に上がってみることにした。街を見おろすと、さすがに空港がある街だけあってかなり大きいことが実感できた。またマゼラン海峡の対岸の陸地もはっきりと見ることができた。
下に降りて喫茶店で朝食を食べることにした。コーヒーとウィンナーを挟んだパンを注文したが、先に運ばれてきたコーヒーを飲んでいると、店の人が何か聞いてくる。その中にマヨネーズという言葉があったようなので、多分マヨネーズをかけるかどうか聞いているんだなと思って頷くと、案の定、マヨネーズのかかったパンが運ばれてきた。これだけで千円程度だから、レストランで食べるよりも随分と安い。そのためか、店は地元の人で大賑わいだった。
帰りに大型スーパーで夕食用のウィンナーと翌日のバスの中での食料を買ってホテルに戻り、前日に近くのミニスーパーで買った日本製でないカップ麺を食べてみると結構いける味だったので、ミニスーパーが開店したら買い足すことにした。
昼前から雨が降り始めたので、外出が億劫だったが、夕方になって近くのミニスーパーにカップ麺を買いだめに出かける。結局6個を買い、前日に買った分も含めて9個をアルゼンチン用に持っていくことにした。もし南極クルーズに乗れたら、クルーズ中は豪華なバイキングなので、カップ麺を食べる機会もないだろうから、もっぱらウシュアイアとブエノスアイレス用である。
その晩は、昨日に引き続き、パンに野菜、チーズ、ソーセージの自炊である。プンタアレナスでは、一度もレストランには行かなかったし、ツアーにも参加してないので安上がりの滞在であった。もっともウシュアイアで南極クルーズに参加することになれば、桁外れの費用になるのだけど
2月20日
いよいよ南米最南端の町ウシュアイアを目指しての旅の始まりだ。7時過ぎにターミナルで待っていると、リオグランデ(途中の乗り継ぎ地点)と書かれたバスが入ってきた。途中でマゼラン海峡はフェリーに乗り換えたり、アルゼンチン側では別の会社のバスに乗り継いだりして、乗車予定時間は11時間だが、全然長いとは思わなくなった。さらにこのバスでは珍しくフリーwifiが使えるので退屈しなくてすみそうだと思ったら、wifiが使えるのはターミナルの周辺だけでぬかよろこびであった。
ほぼ満席に近い状態だが、自分の隣は空席となっているものの、それもわずかの時間でプエルトナタレスからのバスの乗り継ぎ客が座ることになるだろうと思っていたら、案の定、ガソリンスタンドの前で停車すると、プエルトナタレスからのバスが来て、10人近くの乗り継ぎ客で満席になり、私の隣も空席ではなくなった。ここのところ、隣席は若い女性のことが多かったが、今回は見上げるような大男である。まあ、その方が気を使わなくてよいのだが
バスはマゼラン海峡沿いに走り、海峡が大西洋側ではもっとも狭くなるところでフェリーに乗り換えて対岸のフェゴ島に移ることになる。これで南米大陸ともお別れである。対岸のフェゴ島は間近に見え、大西洋から海峡に入ったマゼランが、こんなに海峡が狭くなってきたのによく前進したなと感心する。西側の太平洋に出るところでは、もっと狭くなっているところもあるが、そこまで進めば前進せざるを得ないだろうが。
バスを収容してフェリーは出発する。バスから降りて船室に行ってみたら波が荒いのに驚く。こんな荒海をよく関野さんはカヤックを漕いでいったものだと感心する。
やがてフェゴ島に上陸したバスは視界を遮るものが何もない平原の中を疾走していく。まもなくアルゼンチンとの国境に達し、まずはチリ側のイミグレで手続きを行い、税関はなにも申告するものはないので、そのまま通過する。チリは入国するときは、食品の検査が厳しく今回のように大量のカップ麺を持ち込めば即没収だが、出国の際は特に支障はないようだ。
次にアルゼンチン側の入国手続きに移るはずなのだが、バスが発車していくら行ってもイミグレが現れないので省略なのかと思った。もともとアルゼンチンは入出国に際してパスポートに判を押さないから省略でも不思議はないと思っていたところ、国境から12キロも離れたところにイミグレはあった。手続き自体は簡単に終わりバスに戻ったら、今度は荷物を持って検査を受けさせられた。麻薬犬とエックス線検査が行われたが。なんで1度で済ませられないのだろうか。それに私は車内持込の荷物を持っていくのを忘れたが、それについてはノーチェックであり、どうもザル検査のように思われる。それに何度も車の乗り降りをするのは時間の無駄であり、アルゼンチンとウルグアイの間のように同じ場所でやってもらうわけにはいかないのだろうか。
アルゼンチン側の検査が思った以上に時間がかかったこともあり、リオグランデでの乗り継ぎ時間が当初予定では30分あったものが、5分程度しかないことになり、円滑に乗り継ぎが間に合うか気がかりだが、このバスの乗り継ぎ客は相当いるだろうから、それを置いて先に出発してしまうなんてことはまずないだろと考えて安心することにした。
リオグランデの出発時間の5分前に終点の広場に着いたが、乗り継ぎバスはまだ来ていない。果たしてここで乗り継ぐのか別の場所で乗り継ぐのかもわからない。まあ他の乗り継ぎ客の動きを見るしかない。すると、マイクロバス2台が広場に入ってきたので、ここで乗り継ぎができることがわかった。
マイクロバスに乗り込みさへすれば、後は時間がたてば自然にウシュアイアに運んでくれる。カラファテからここまで何台もバスに乗り継いでやって来たが、徒歩や自転車に比べればはるかに楽ではあるものの、言葉の壁を乗り越えてなんとかここまでやって来られて、まずはホッとしている。
グーグルマップの経路で予想したバスの終点の近くの宿を予約したつもりが、急な登りを結構登らせられる羽目に。初めての土地の初日なので私としては比較的ランクの高い宿を予約したつもりだが、どうも個人経営で他の客は泊まってないみたいだ。予め近くのレストランを調べてあったので、そこに向かったが、辺りは別荘地らしく高級ムードで結構なお値段であった。まあレストランは久しぶりだし、南極クルーズのことを考えたら、これくらいでぴびってはいられない。
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