イースター島
3月26日
日付が変わった12時過ぎに保安検査口に行ってみると違う係員がいたが、私の搭乗券を見て、自分の腕時計を見せながらダメだと言っているようだ。彼女は英語がしゃべれないというので(まあ私も同じようなものだけど)、これ以上やりとりしてもムダだと思い、朝まで待つことにする。
一般の国内便客が待つ上の階は床に寝転んでいる人もたくさんいるほどこんでいるが、この階はイースター島行き専用のため、それほどこんでなく三つの椅子を占領して完全に横になれた(これならラウンジのソファーより安眠できる!)。
目が覚めると4時半だったが隣の椅子の寝ている人はいなくなっていた。6時を待たずに保安検査口は手続きが始まったようなので、慌てて検査口へ急ぐ。
イースター島は準外国扱いで保安検査前の個人情報登録をスマホで行うのだが、何度やってもエラーが出てしまって最初からやりなおしとなり、最後は係員の助けも借りてなんとかクリアしたが、1時間くらいかかってしまい、冷や汗ものだった。朝に宿を出て手続きをしていたら完全にアウトとなるところだった。QRコードでダウンロードした申請書への個人情報入力は他の所でも増えてきたが、自分にとっては鬼門だ。
保安検査場の先で一般の国内便の乗客と合流し、先日も利用して勝手知ってるラウンジなので、そちらへ向かったが、その前にトイレに行こうと思ったところ、トイレは曲がり角の先にあるのだが、そちらから長蛇の列が続いていて全然動く気配がない。しばらくは待ってみたが、どうもおかしいと思って、曲がり角の先まで行ってみると、その列は別の搭乗口への列であることがわかり、安心してトイレに寄ってからラウンジに向かった。ラウンジ受け付けでは、通常は搭乗券とカードだけでO.K.なのにパスポートの提示まで求められて、イースター島はやはり準外国なのだと思った。
イースター島行きのフライト4時間前からラウンジで朝食を食べられることになったが、まだバーは閉まっていてアルコールは飲めないものの、そのうちに開くだろう。もっとも飛行時間は四時間ながら、1時間の時差があって到着は一時近くになるものの、この航空会社は他で利用した際も国際便で昼時にもかかわらず、スナック菓子しかださなかったので今度も同様と思われ、しっかり昼の分まで食べておかなければならないだろう。
そのうちに利用客も増え係員も増えたのでビールを飲みたいと係員に言ったところ、10時からだと言われて、それでは離陸後になってしまうので、まあ朝から酒を飲むということは自分のポリシーにも反するので、残された1時間余りは昼食の先食いに充てようと思った。アコンカグアと南極では、1週間以上は禁酒したんだし(前者は高度のため、後者はドル現金を節約するためと理由は違うが)、三日間ぐらいの禁酒(外出禁止、移動のための慌ただしさ、ラウンジでの飲酒のために我慢と日々理由は違うが)はどうと言うことはないだろう。
ラウンジの情報板には私の乗る便の搭乗口までは2分と表示されていたので急ぐこともあるまいと30分前にラウンジを出たのだが、乗るべき搭乗口が見つからず、保安検査口まで来てしまう。一瞬ガーンとなったが、途中に見取り図があったことを思い出し、そこまで戻って確認すると、目指す搭乗口は上の階にあることを発見し、保安検査口の横に通路があったので、そこをずっと行くと、目指す搭乗口があってホッとした。まるで迷路ようだったし、サンティアゴ空港からの搭乗は苦労の連続だった。
離陸後40分くらいして予想してなかった機内食が配られる。考えてみれば、サンティアゴからの距離はブエノスアイレスやラパスからよりもイースター島の方が遠いのだ。やはりイースター島は国際線扱いされているのだろう。こんなことなら、ラウンジで頑張り過ぎなければよかったと思ったが、どうも今回はアテが外れてばかりである。もっとも「据え膳食わぬは武士の恥」でしっかり完食はしたが・・・。よし、これなら午後はしっかり観光に時間を使えるぞと思った。
空港着陸後に中心地のハンガロアに向かって歩きだす。他の乗客はみな迎えの車を利用するようで、空港から歩いて来るのは私だけである。ハンガロアまでは30分くらいであるが、世界的に有名な観光地だからカラファテやウシュアイアのように一見して観光の町とわかる所かと思ったら、ごく一部を除けば普通の田舎町であった。海岸沿いに歩いて育と、さっそくモアイ像とのご対面である。独立したものから5体が並んだものまであって、もうこれで帰ってもいいなやもいう気にもなった。ただ写真を撮ると逆光でモアイ像の顔が黒くなってしまうのが残念である。一番端のモアイ像まだ行ってから引き返してホテルに向かったが、ホテルは中心街からかなり離れているので思いがけず時間がかかってしまった。
3月27日
今日はレンタサイクルで島中を回るつもりで地図に出ていたお店に向かったが、そこにはお店はなかった。そこで、近くのお店で翻訳アプリでレンタサイクル店の場所を地図上で教えてくれといっても、スペイン語でぺらぺら喋りだすのでさっぱりわからない。その人が指さす方向に歩いてもお店はなく海に出てしまう。海岸沿いにはマリンスポーツ関係のレンタル店はあるのだが自転車はない。すると、ツアーの募集がでていたので、ツアーでもいいかなと思ったが、聞いてみるとツアーは午前中からスタートするものばかりで、午後からのものはないということで、お昼近かったので諦める。ではタクシーで行くことをかんがえたが、タクシーが全く見当たらないので、お巡りさんに聞いてみると、タクシーはないという返事である。ガイドブックにはタクシーのことは書いてあるのだが、コロナで客足が落ちた時にタクシーは消滅してしまったのか
こうなったらしかたないので、モアイ像ではないが近くにあるカルデラ地形の中に多数の池があって地元の水源ともなっている所に歩いて行こうと思って歩きだすと、すぐの所にレンタサイクル店があった。1日で3200円だからツアーよりも一万円くらい安い計算だ。すぐに借りることにしてまずは先ほど歩いて登ろうとしたカルデラに行ってみることにした。
飛行場の脇を登って行くが傾斜5%程度だから、それほどきつくない。ところが最初はポツリと降っていた雨がだんだんと強くなり、ついには本降りとなる。カルデラの登り口に自転車を置いて山道を登りだしたが、展望もほとんどないので、ここが最高点と思われる所で引き返す。途中、チラッとカルデラの底の池が見えて絶景ではあったが、すぐに見えなくなってしまだた。
下り始めても雨は止まず、全身が濡れてくる。やっとの思いでホテルに戻りシャワーを浴びて体を温める。しばらく雨は止みそうにないが、せっかくイースター島に来て、昨日のモアイ像だけではもったいないので、別のモアイ像も見てみたいと、日没は8時頃と遅いので小止みになるのを待つことにした。
夕方になっても雨はやまず、イースター島は雨期に入ってしまったのだろうか?航空運賃が下がったのはそのせいだろうか?などと考えてしまう。時間も5時を回ってしまったので、しびれを切らして出発する。ただし、8時までに自転車を返さないといけないので6時半には引き返すことにする。雨は止むどころかかえって激しくなってくるようだ。目的のアモイ像まで届かずとも、一体でもアモイ像があれば、そこで引き返すことにした。願いが通じたのか、目標地点よりもだいぶ手前であったが、一体のアモイ像に出逢った。
写真をとってからすぐに引き返すが、この時間なら自転車屋が閉まる8時までには十分間に合うと安心したが、別の心配がでてきた。それは街なかを通ることになるので、放し飼いの犬(ほとんどの飼い犬は放し飼いである)が自転車に対してどういう反応をするかであった。ところが、数十匹の犬に出逢ったのに吠えてきた犬は一匹だけであった。それも一回吠えただけで追いかけてくるわけでもなかった。なかにはこちらの姿を見ただけで逃げ出す犬もいるほどであった。きっと犬にとって自転車はふだんはあまり見かけないものであり、関わりたくないものなのかもしれない。もっともチリ本土では走っている自動車に飛びかかっている犬も見たし、グレートジャーニーでは自転車に乗っているとしょっちゅう犬に追いかけられたようなので、自転車嫌いの犬はイースター島に限ったことかもしれないが。
自転車を返した後、すぐにでもホテルに戻って暖かいシャワーを浴びたい所であるが、ホテルの近くにはレストランはないので腹ごしらえをしなければとレストランに入る。濡れた服のままじっとしていると、風邪をひいてしまうのでマナー違反かもしれないが、その場でTシャツを着替える。着替えはビニール袋に入れておいたのだが、やはり濡れているものの、今までよりは多少はましなようだ。料理は適当に頼んだのだが、出されたのは目玉焼きの乗ったステーキとポテトフライと玉ねぎをいためたもので日本のファミレスの料理のようであった。おまけにライスは茶碗にはいっているので、日本人旅行者御用達の店かもしれない。そういえば、遠くの方に日本人と覚しき人も見えた。
ホテルへの帰り道は歩くと30分くらいだが、自動車モードだと遠回りになるので、ほぼまっすぐ行けそうな歩行者モードの道を選んだが、あるはずの道が途中で消えてしまったりして、その度にスマホを出して、道を確認していたら、どうもUSB端子に水が入ってしまい、充電ができなくなるという事態に繋がってしまった。さらに悪いことには、やたらと放し飼いの犬が多い所で、そこらじゅうで吠えられてしまう。なかには至近距離まで来る犬もあったが、この頃になると、犬の扱いにも慣れてしまい、放し飼いの犬は本気で人を襲うつもりはなく、単に威嚇しているだけなので、目をそらさずにゆっくりと後ずさりして離れれば無関心になるということがわかってきた。結局は自動車モードの道に戻ってホテルに着いたが、1時間以上かかってしまった。大変な1日だったが、シャワーを浴びて横になれば極楽である
3月28日
本日も朝から雨がふっている。イースター島はすっかり雨季になってしまったのかもしれない。航空運賃が大幅に下がったのには理由があったのか、まあ初日の天気が良かっただけでも儲けか。ホテルの料金がまだ支払ってないようなのが気になってオーナーに言ってみてもカードで支払済のような返事があるが、旅行社からのメールでは現地払いとなっていた気がする。まあ何らかの手違いがあれば連絡が来るだろうと静観することにする。
10時にホテルの車で送ってくれる。まあ歩いても空港までは10分くらいなのだが、雨が降っていることと、そして何よりも途中で犬とのバトルをしなくても済むことが助かる。チェックインに際してはサンティアゴ空港と違い他の便はないのでeチケットを見せる必要はなく、パスポートの提示だけで済んでしまう。チェックインが終わった乗客はそのまま保安検査口に並んでいくが、他の便がないためすぐには検査は始まらず、検査口の列は進んでいかないので、しばらくは並ばずに椅子に座って待つことにする。どうせ検査が終わってもラウンジがあるわけでもなく、急いで検査を終える必要もないからである。
検査列の列がだいぶ短くなり始めた頃にようやく検査の列に並び始める。サンティアゴ空港では苦労した検査場の突破も、ここでは問題なく終えることができた。小雨の中をタラップまで走って機内に入る。席は最後尾の通路側というトイレに近い自分にとっては最適の席だ。さあこれから5時間近い長旅に備えようと思っていたら、まだ搭乗時間の20分前だと言うのに、機体は動きだした。出発が遅れることは珍しくないが、こんなのってありかよと思ったが、機体はイースター島を離れてサンティアゴ目指して飛び立った。
| 固定リンク
「歩き」カテゴリの記事
- 下仁田周辺の歩き(2025.03.10)
- 東京都の百名山(五日市周辺の三山)(2025.03.04)
- 関東ふれあいの道 群馬県コースNO4,5(2025.02.27)
- ふれあいの道 群馬県コースNO1,2,34(2025.02.15)
- 不老山(2025.02.10)
「海外」カテゴリの記事
- ベトナム旅行記(後半)(2025.01.22)
- ロサンゼルス滞在と帰国(2024.04.13)
- アメリカ大陸横断後半戦(2024.04.10)
- アメリカ大陸横断前半戦(2024.04.07)
- ボストン(2024.04.04)
コメント