蝙蝠尾根
日本アルプスの主稜線のうち一般的なものは全て歩き通してしまったので、今後は日本アルプスについては支稜線のうち未踏のものを歩いていこうと、前回の南アルプス北部の仙丈岳地蔵尾根に続き、今回は同じ南アルプスの中央部に位置する塩見岳から二軒小屋に延びる長大な蝙蝠尾根を踏破してみようと思った。そこで問題になるのはコース選定である。伊那方面の登山口である鳥倉の標高は約1800メートルであるのに対して、静岡方面の登山口である二軒小屋の標高は約1300メートルなので、前者から入山した方が断然有利である。ただ、ここで問題となるのは、蝙蝠尾根を踏破するためには塩見岳近くの小屋に宿泊せざるを得ないが(なおキャンプは禁止)、この小屋はかなり前から予約しないと満員となってしまうことが難点である。ところが、8月25日までは満員であるが翌日以降は空きがあるのである。なぜだろうと思ったら、鳥倉までのバスは8月25日までが運行期間なので、当日朝の便を利用すれば、夕方には塩見小屋まで達することができるため、25日までは小屋の予約は満員なのであろう。そのため、私は25日のバスは午後の便として、その日は手前の三伏峠にキャンプして、翌日に小屋が空いてから塩見小屋まで登ることにした。
8月25日
昼過ぎに伊那大島駅から乗車した鳥倉行きのバスは途中までの乗客1人を除いて私だけだった。塩見に向かう登山者はマイカーによる塩見ピストンが主流で、最終運行日のバスを利用するにしても朝のバスを利用したのであろう。
鳥倉から先は1番から10番まで番号がついた標識があるので精神的は楽である。小屋近くまで誰にも会わなかったが、その先で二人の若者にぬかれたので驚いた。小屋に着いた時は薄暗くなってきたので直ぐにテントを張ったが、台風が近づいているためか数張りしか設定しておらず快適であった。おまけにキャンプ場には、弱い電波ながらもwifまで通じているのには驚いた。
8月26日
今日は塩見小屋までの比較的短い行程なのでゆっくりと出発する。行き違う下山者はそこそこいたが、登りの人はほとんどおらず、登る人も今日中に塩見岳を往復する人だけのようである。今日はまだ台風から遠いためか天気もまずまずで塩見岳方面の展望も良好であった。
塩見小屋に着くと、台風を警戒して予約のキャンセルが続出して私の他は泊り客はひとりだけであった。その泊り客も今日中に塩見岳を往復しており、明日は塩見岳方面に向かうのは私だけのようであった。
その晩はいつもは経験しない山小屋の食事を味わうことになるが、昔から比べると食事の質はだいぶ上がったように感じた。食事が終わると、あとは何もやることがないので、明日に備えて早く寝ることにした。
8月26日
今日は塩見小屋までの比較的短い行程なのでゆっくりと出発する。行き違う下山者はそこそこいたが、登りの人はほとんどおらず、登る人も今日中に塩見岳を往復する人だけのようである。今日はまだ台風から遠いためか天気もまずまずで塩見岳方面の展望も良好であった。
塩見小屋に着くと、台風を警戒して予約のキャンセルが続出して私の他は泊り客はひとりだけであった。その泊り客も今日中に塩見岳を往復しており、明日は塩見岳方面に向かうのは私だけのようであった。
その晩はいつもは経験しない山小屋の食事を味わうことになるが、昔から比べると食事の質はだいぶ上がったように感じた。食事が終わると、あとは何もやることがないので、明日に備えて早く寝ることにした。
8月27日
暗いうちから起き出して準備を始め、5時から朝食を摂って6時前には小屋を出る。昨日までと違い、今朝は明らかに台風の影響を受けていて風雨の中を登ることになる。塩見岳山頂には10時前に着いたが、休む暇もなく先を急ぐ。
徳右衛門岳から二軒小屋までは距離はさほどではないが、標高差は1000メートル以上あるので明るいうちに着けるかどうかが危うくなる。ただ水も食料も充分持っているので、無理に二軒小屋まで行かなくても、テントを張れる場所さへあれば暗くなる前にテントを張ることにした。
結局、二軒小屋よりもだいぶ手前でテントを張ったが、一晩中雨が降って、テントの中は水浸しになり、なかなか辛い夜だった。横になって明日の予定を考えたが、当初の予定では二軒小屋に降りてから転付峠を越えて身延方面に向かうつもりであったが、峠からの下り道が元々あまりよくなく雨でさらに悪くなっているだろうことを考えると、日数と費用はかかっても静岡方面に下った方がよいような気がしてきた。
8月28日
夜が明けるとすぐに出発するが、二軒小屋までは思ったよりも時間がかかってしまった。二軒小屋は営業を休止していたので、そのまま歩き続ける。転付峠に向かうのは問題外なので、10キロ先の椹島を目指していくが、単調な歩きなので30分ごとに休むことにする。椹島ロッジから先はロッジ宿泊者に対しては送迎サービスがあるとのことだが、この時期はかなり前から予約してないと泊まれないようである。ただ今回のような台風襲来時にはキャンセルが続出するだろうから、予約なしでも泊まれるだろうという目論見があった。
椹島ロッジに着いてドキドキしながら聞いてみると、案の定、宿泊者は私ひとりであった。早速、旅装を解いて風呂を浴びビールを飲めば極楽である。宿の夕食を食べ、テレビもwifiも使える環境は前夜とは様変わりである。
8月29日
早朝5時に朝食、6時に送迎車の出発ということで、このまま無事に陸の孤島を脱出できるかと思ったのは甘かった。送迎サービスは本来は畑薙ダムの先のゲート前の駐車場までで、そこからバス停のある白樺荘までは40分ほど歩かなければならないのだが、今日は特別に白樺荘まで送ってもらえたので、その時はラッキーだと思った。なお、同乗者には夏の間、アルバイトで働いていた人が家に帰るということで静岡まで送るとのことだが、私を静岡まで同乗させることは白タクになってしまうので難しいと言われる。まあ今日中に帰宅できればいいやくらいの気持ちで白樺荘の前で下車した。
下車すると、すぐに時刻表を確認したところ、バスの便は午後までしかないことがわかり、待ち時間をどう過ごそうかと考えるながら白樺荘の中に入ると、耳を疑う事実を知らされる。なんと、土砂崩れのために道路が通行止めとなり、台風が通り過ぎるまでバスは走らないとのことである。白樺荘の人の話では、脇道を通ればタクシーならば静岡まで帰れるが、そうでなければ台風通過まで白樺荘に泊まらざるをえないとのことである。白樺荘まで送ってくれた人はバス運休のことは知らなかったのだろうが、後の祭りながら静岡までの同乗を強く頼めばよかったと後悔した。まあ静岡までの交通手段が残されているだけでもラッキーだったと考えることにして、2万4千円を支払って静岡に向かうことにした
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