辺野古ゲート前座り込み
現地に到着して暫くして第一回の資材搬入阻止行動が始まる。バスに乗車したきた14人を含めても30人ほどの座り込みなので、搬入自体を阻止するまでには至らないが、それでも工事車両100台近くがゲート手前に集結し、基地内に待機していた機動隊が整列して、中隊長の号令一下ごぼう抜きを開始し、座り込みを全て排除して車両が基地内に入るのには一時間以上要していたので、もし座り込みがなければ1日の資材搬入回数は増えていただろうから、座り込みの存在が工事を遅らせている効果があることは間違いないだろう。
お昼の第二回搬入の前には「島ぐるみ」という沖縄の反基地団体の仕立てたバスでやってきた20人が加わり、さらに福島からやって来た30人近い団体も加わったのでかなりの人数となったため、ある程度は搬入時間を遅らすことができるのではないかと期待したが、機動隊が座り込みの市民の前に整列すると、福島の団体は座り込みを止めて一斉に帰ってしまったので拍子抜けしてしまった。やはり初めての人にとっては、機動隊にごぼう抜きされるというのはかなりハードルの高いことなのだろうか?自分にとっては慣れっこになってしまったことだが、久しぶりに座り込みに参加してみると、機動隊のごぼう抜きも以前ほど手荒でなくなった気がするし、以前はごぼう抜きした後にフェンスと機動隊の人垣で作られた臨時の「留置場」に長時間収容されるという人権無視があったが(夏などは脱水状態になりかかった)、今はそれもなくなったのは警察内部になんらかの反省があったということであればいいが
最終の搬入までは時間があったので、テント前では芸達者の連中が得意ののどを披露してくれたりして楽しんだ。なかでも安倍晋三が演じる寅さんの替え歌は秀逸で、もしこれが放送されれば(たちまち放送禁止だろうが)大ヒット間違いなしという代物であった。その後に二人の地方議員がテント前に現れたが、なんと私の地元の区会議員であった。なんでも明日、沖縄の地方議員との合同のイベントがあるそうである。間もなく最後の資材搬入があり、同議員らも加わって阻止行動が行われて本日の行動は終了し、朝と同じバスで那覇に戻ることとなった。
自分が初めて辺野古ゲート前の座り込みに参加したのは安保(=戦争)法制の強行採決が行われた2015年の12月であるから、早いもので足かけ5年がたつことになる。それ以前は沖縄の問題というのは、どこか自分とは縁が薄い問題だという意識があったのかもしれない。しかし、アメリカの言いなりになって民意を無視して政策を強行するのは戦争法制も辺野古新基地建設も根幹は一緒であることに気づいて自分なりに勉強する中で、辺野古新基地建設は間違っており絶対に阻止しなければならないと確信するようになった。
すなわち日本政府のいう都市部にある普天間基地の危険性を除去するために辺野古に移転する必要があるという説明は真っ赤な嘘なのである。なぜならば普天間基地に駐留する海兵隊は米軍の海外侵略を行う尖兵として展開するものであり、日本を防衛する能力は有していないのである。防衛力とは直接的には敵国の海や空からの攻撃(日本は島国なので陸からはありえない)に応戦して、これを無力化することであり、それとともに相手本国に直ちに反撃して甚大な被害を与えうる攻撃力を有することによって、相手に攻撃を思い止まらせることだが、海兵隊はこれらのいずれの機能も有していないということは、軍事専門家にとっては常識となっていることなのである。それゆえに日本の防衛力には無縁の海兵隊は日本から出ていってもらって普天間基地の危険性を除去するというのが取るべき対応なのである。そして、それによって世界に類を見ない大浦湾の貴重な自然も保たれるのである。
さらには、基地建設予定地の大浦湾に軟弱地盤があることが判明したことにより二つの大きな問題が生じるようになった。ひとつは前例のない大幅な地盤改良が必要となってくるが、技術的に可能であるという御用学者の意見は根拠に乏しく、仮に可能だとしても設計変更については知事の承認が必要となってくるのである。当然、玉城知事は承認しないだろうし、基地反対派の知事が存在する限りは工事はストップしたままとなるだろう。一方、国側は裁判その他の法的対抗を取ってくるかもしれないが、その場合には泥沼化してしまい、万一国側の主張が認められるにしても非常に長期間を要することになって、いずれにしても普天間周辺の住民は長期にわたって危険性を甘んじなければならなくなってしまうのである。
もうひとつの大きな問題は、当初は数千億円と言われていた基地建設費用が地盤改良工事によって大幅な増額は避けられないことである。国はその金額を明らかにしていないが、県の試算では二兆円にのぼるとも言われている。国家予算の2パーセントにもなる金額をアメリカの歓心を買うためにだけで浪費し、しかも完成後に地盤沈下で使用不能になるかもしれないということを知ったら、いかにお人好しの国民でも反対の声が強まるであろうから国も金額を明確にせずにあいまいのままでごまかしているのである。つまり、国は明確な長期的ビジョンを持っておらず、その場しのぎの対応をとっているということだろう。
以上のような状況を踏まえると、当面は現在の膠着状況がしばらく続かざるをえないだろう。私の沖縄行脚も、体力的・経済的な面からいつまで続けられるかはわからないが、可能な限りはやっていきたいと思っている。
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